お正月に活躍する焦三仙(しょうさんせん)

 新年を迎えました。明けましておめでとうございます。明日から仕事始めという方も多いことと思いますが、年末年始の疲れは残っていませんでしょうか?

 お正月に用いられる薬草として屠蘇散が比較的有名ですが、中国ではその他にも古くから正月やその他の祭事に準備される生薬があります。それは「焦三仙(しょうさんせん)」と呼ばれる三種類の生薬の組み合わせです。“仙”の字がつきますので、それだけでもありがたい感じがします。漢方処方の中には、こうした「仙」や「神」の字が使われる物がいくつかあり、「素晴しい効果を持ち、病気の災いから人々を救ってくれる」という思いが込められています。また「仙」には“速やか”という意味もあるそうで、速効性を期待して付されることもあるようです。

 実は焦三仙の場合も、決してありがたい名前だから祭事に用意されるのではなく、ごちそうの食べすぎに対処する速効性を有するということで重宝されているのです。

 焦三仙に含まれる生薬は、山楂子(さんざし)、麦芽(ばくが)、神麹(しんきく)という三種類です。山楂子はバラ科オオミサンザシの木の実で、麦芽は発芽大麦です。これらの名前はお聞きになったことがあるかもしれませんが、神麹という、これまためでたそうな名前の生薬は一般にはあまり知られていません。生薬はたいてい草の根や葉、果実、蕾などを乾燥した物ですが、神麹は例外的で、様々な薬草を混合し、発酵させて作る加工食品なのです。中国に古くから伝わり、6世紀に書かれた中国最古の農書に詳しい製造法が記されています。神々の集まる日に作るという言い伝えがあったり、製造過程で薬草汁を白虎、青龍、朱雀、玄武などの神々に供えるといった作法が行われていたため「神」の字が冠されているとのことです。

 これらの生薬はそれぞれタンパク質や炭水化物の消化を促進し、また血中の脂質代謝に関わるなどの研究結果も示されています。食べすぎ・飲みすぎによる症状の改善や、お腹を丈夫にするために用いられる漢方処方の中には、これらの生薬を含む物がいくつかあります。

 お正月のごちそう疲れにはもってこいの生薬たちです。
画像の説明
左から山楂子、麦芽、神麹