ゼラチンの効果

 魚や肉の煮込み料理が冷えるとプルプルの煮こごりができます。動物の皮膚や骨,腱に含まれるコラーゲンが煮汁にしみ出て,冷える時にゼラチンとして固まるためです。昔から日本人には親しまれてきた物ですね。最近ではコラーゲンに富む骨付き肉やスジ肉をふんだんに入れたコラーゲン鍋が流行ったり,さらには粉末にしたコラーゲンのサプリメントがもてはやされている様です。肌に艶や潤いが出て,美肌効果が期待できると言われています。

 ただし,コラーゲンを摂っても,腸から吸収される際に分解されてしまい,そのまま体のコラーゲンが増えるわけではありません。美肌効果に関する科学的な根拠は認められていないようです。ところが伝統医学の中では,しばしばゼラチン類が治療や健康維持の目的で利用されることがあります。長い歴史の中で多くの経験から,ゼラチンの種類によって効果が異なることも分かっています。

 ロバの皮の煮汁を乾燥させたものは阿膠(あきょう)と呼ばれ,漢方で利用される重要な生薬です。膠は“にかわ”とも読みますが,ゼラチン質を意味し,さらにそれから得られる接着剤を指す場合もあります。阿膠の重要な作用に止血があります。痔出血や女性の不正出血などに用いられる芎帰膠艾湯(きゅうききょうがいとう)は,阿膠を含む代表処方です。また貧血や空咳の治療にも用いられることがあります。
阿膠
↑阿膠

 その他,生薬の書籍にあるゼラチン質の代表的なものをご紹介しましょう。

 亀の甲羅から得られる亀板膠(きばんきょう)は滋養に優れ,体を潤して火照りを取る作用があるとされます。スッポンの甲羅を由来とする鼈甲膠(べっこうきょう)も同様に用いられます。

 鹿の角を煮詰めて作ったものは鹿角膠(ろっかっくきょう)と呼ばれ,滋養,止血,止痛などの作用があると言われます。

 魚膘膠(ぎょひょうきょう)は魚の浮き袋を煮詰めて得られるもので精のつくものとして利用されています。また流産防止にもなると言われています。

 いずれも,何らかの滋養効果が見て取れます。とくに冬の食養生ではしばしば滋養の品を積極的に取るよう言われますので,身近な食材でのコラーゲン鍋も悪くないかもしれません。ただし取りすぎは胸やけや胃もたれ,下痢,軟便の原因となりますのでご注意を。