パンダと竹

 昨年,上野動物園でメスのパンダの赤ちゃん「シャンシャン」が誕生しました。愛くるしい姿や行動は,見る人を魅了して止みません。
 私は昨年10月末に中国の四川省にあるパンダの研究施設「成都ジャイアントパンダ繁殖研究基地」を訪れる機会がありました。広大な敷地に室内研究施設と屋外の飼育地があり,多くのパンダを見学することができます。
 ひたすらに竹を食べるパンダ,寝ているパンダ,じゃれ合っているパンダ。素人目に映るのはだいたいこの3パターンです。しかしどれをとっても見飽きることのない魅力があります。 さて,パンダの食べる竹ですが,パンダは軟らかい若い茎,すなわちタケノコの部分を好んで食べます。それでも繊維を十分に消化することはできず,きちんと栄養を補うためには相当量の竹を食べなくてはなりません。本来雑食性の動物ですが,天敵の少ない山岳地帯の奥地を生息地とし,冬眠をしないパンダが1年中得ることのできるものが,冬でも枯れない竹や笹だったとのことです。

 漢方書にも様々な竹や笹が登場し,それらの茎や葉を古来利用してきたことが分かります。
 その中で現在の日本で比較的使用頻度の高いものが,竹茹(ちくじょ)という生薬で,ハチクなどの竹の幹が用いられます。体内にこもる熱を冷まし,吐き気や胸苦しさを取り除く作用があり,不眠,感冒,胃腸障害などの処方に応用されます。
 笹の一種であるクマザサは,漢方薬としての利用はわずかでしたが,昭和29年に開発された抽出技術によって得られたエキスに,疲労,食欲不振,口内炎,口臭,体臭,歯槽膿漏などの改善効果が認められ,広く普及するようになりました。
 ちょっと変わったところでは,竹の分泌物を利用した生薬があります。竹に寄生するチクオウバチによって開けられた穴のある節には分泌物が溜まって固まります。中国ではこれを天竺黄(てんじくおう)と呼び,膿卒中,癲癇,小児のひきつけなどに用います。

写真:成都ジャイアントパンダ繁殖研究基地
a:じゃれ合う親子パンダ
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b:室内施設でタケノコを食べるパンダたち
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c:子パンダは木登りも上手
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