体の焦げ(こげ)

 生活習慣,とくに食習慣との関わりがある老化促進要素として“体の糖化”という現象が注目されています。食べたり飲んだりした糖分が体を構成するタンパク質と結びつき,組織を変性させてしまう現象です。

 糖分による異常というと糖尿病が思い出されます。血液中の糖分が過剰になる病気で,高血糖によって血管が傷つき,さらには体の組織・器官が傷つきます。糖尿病による網膜症,神経障害,腎症といった合併症がこの病気の恐ろしいところです。

 タンパク質の糖化という反応は実は大変身近です。肉や魚を焼いたときに褐色になって香ばしくなる反応,味噌や醤油が熟成して茶褐色を深めていく反応,トーストやご飯の“お焦げ”ができる反応などがそうです。いずれも加熱や熟成を経ておいしくなる反応です。加熱が過ぎると黒く焦げてしまいますが,そこまで焦げるのは別の反応が関わりますのでおいしいお焦げまでです。

 食べ物がおいしくなるのは良いのですが,人体が変性するのは困ります。糖尿病だけでなく,老化を進行させることにも体の糖化が関わっているのです。例えば有名なコラーゲンもタンパク質の一つですが,コラーゲンが糖化すると肌の弾力性が失われ,骨は劣化します。またアルツハイマー病は脳内組織の糖化が原因という説があります。

 糖化を防ぐ対策では糖分の摂り方が重要です。急激な糖分の吸収は体の代謝に負担をかけ,糖化促進につながります。過剰に摂取しないことは勿論,食べる順番も重要です。糖分はエネルギー源として必要な栄養素ですが,まずは糖分が少なく,繊維の多い葉物野菜を先に食べるようにすると,糖分の吸収が穏やかになります。甘い物だけでなく穀類やイモ類,根菜類も糖分が豊富ですから,後回しにしてゆっくり食べましょう。また古来血管を丈夫にしたり,血液の流れを改善すると言われる薬草には抗糖化作用があることが分かってきました。

 甘い物の摂取は習慣となりやすいですね。ついつい手が伸びてしまう方は,そうならない工夫を考えましょう。“病気治しはクセ治し”とも言われますから。