冬の養生

 冬の間,風雪厳しい野山では,秋のうちに食料をため込んだ動物たちが巣穴にこもり温かい春の訪れを待ち,植物たちもその成長を緩めて芽吹きの時に備えます。人間も自然界の一部であるとする中国医学の考えに従えば,冬には派手な行動を慎んだ方が良いようです。

漢方の古典『黄帝内経』(こうていだいけい)

 約二千年前に書かれたとされる医学書『黄帝内経』では冬の養生について次のように説いています。『冬は万物が営みをひそめる季節。夜は早く寝て朝はゆっくりと起き,日の出・日の入りにともなって起居する。志や欲望は心にひそめ,すでに成し遂げたような気分でいる。』心身の陽気を表に出さずに守ることを強調しています。つまり体の冷えや心身の過労を避けることが大切です。実際に冬によく見られる感冒や神経痛,脳卒中などは,冷えと疲労が引き金になることが少なくありません。

 さらに『黄帝内経』では『冬の養生を怠ると「腎」を病み,翌春に足がしびれ,腰が曲がる病気になる』とあります。古来「腎」は,人間の成長・生殖・老化・免疫などに関わる根源的な力を蓄える臓器で,膀胱・骨・脳・耳・足腰・生殖器などの機能を調整するとされています。ですから「腎を病む」といっても,腎臓病になるというわけではなく,足・腰・耳の障害や排尿困難,月経不順などと関連します。
 

体を温め,体に優しい生活を!

 寒いときには鍋料理など温かい食事を取りたくなりますね。冬場は根野菜や白菜が豊富ですから,ぜひ温かく調理して召し上がって下さい。その際,ショウガやネギ,唐辛子など,体を温めるものを利用するとより効果的ですが,あまり刺激が強いと胃を痛めることもありますのでほどほどが肝腎です。また肉や魚,大豆などで得られるタンパク質は,血肉の源であり,体の保温にも役立ちます。肉では脂肪の取りすぎに注意して,バランスの良い食事をこころがけましょう。一方夏に好まれるビールやアイス,夏野菜,南国の果物などは体を冷やします。控えめにしましょう。

 室温や衣服でも配慮が必要です。子供の場合,あまりぬくぬくと育てると弱い子になるということも言われますが,冷飲食が多く,屋内での遊びが盛んな現代では,冷え症の子が増えているようです。それぞれの体力に合わせて考えるべきなのかもしれません。また女子高生が足を寒風にさらしている姿をよく見かけます。将来,子供を妊娠・出産するためにも体を温め,腎を守ることが大切だと思うのですが。

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