アキサンゴ/きんとんの色付け

アキサンゴの異名をもつサンシュユ

 グミ(茱萸)に似た果実を付けるサンシュユ(山茱萸)。その果実が秋になると赤く熟します。たくさんの実を付けた姿はアキサンゴという異名に形容されています。この果肉を乾燥させたものは重要な生薬で、老化に伴う衰弱・腰痛・排尿困難・耳鳴り・目のかすみなどに用いられる有名な八味地黄丸などの漢方薬をはじめ、滋養強壮の薬品や健康食品にも利用されています。

 さて、サンシュユは早春、葉が出るのよりも早く、黄色い小さな花をたくさん付けます。比較的ほかの花が少ない時期ですので、その存在は目立ちます。そのためサンシュユはハルコガネバナという別名も持っています。

きんとんの色付けに用いられるクチナシ

 クチナシは初夏に咲く純白で強い芳香の花が印象的です。このクチナシも晩秋から冬になるとその実が熟してきます。クチナシの実は自然に割れることがなく、種のこぼれ出る口も見あたらないことから、“クチナシ”という名がついたといわれています。また実の外側も中身も橙色をしており、黄色の染料としてよく用いられます。代表的なものはお正月料理に欠かせない“きんとん”の色づけです。

 さて、このクチナシの実は重要な生薬でもあり、生薬名は“山梔子(さんしし)”です。比較的有名な用途は打ち身やねんざの時の湿布薬です。昔からの民間療法でも、最近の生薬配合湿布剤でも、消炎の目的でしばしば配合されます。

 それからさらに漢方処方の構成成分としても重要です。黄疸や膀胱炎の治療、そして胸苦しい状態を改善する処方に含まれています。胸苦しい状態というのは、極端にいうと胸中熱く悶えるような状態で、悪心や不眠を引きおこします。山梔子を含む代表処方には、茵陳蒿湯(いんちんこうとう:黄疸・じんましん・口内炎など)、黄連解毒湯(おうれんげどくとう:鼻出血・不眠症・胃炎・二日酔いなど)、加味逍遙散(かみしょうようさん:冷えのぼせ・月経困難・更年期障害・神経性胃炎など)、竜胆瀉肝湯(りゅうたんしゃかんとう:肝炎・膀胱炎・目の充血・不眠症など)があります。

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