加味逍遙散

 かみしょうようさん(加味逍遥散とも※遙と遥の違いです)

逍遙散に二つの生薬を加えた処方です。

まず逍遙散の解説から。

逍遙散

逍遙散は,肝の機能をスムーズにするお薬です。
「肝」は五臓六腑の一つ。「血(けつ)」を蓄える場所です。そしてその血で筋肉や神経を養い,様々な機能を調整し,情緒を安定させます。
 もし肝が失調すると,神経や筋肉が緊張しやすく,情緒も不安定となります。イライラしたり,ため息が多くなったり,肋骨の下に痛みや違和感を覚えることもあります。女性では月経前症候群が発生しやすくなります。そのようなときに肝の機能をスムーズにする必要があります。その代表薬が逍遙散です。

◆逍遙とは「気ままにあちこちを歩き回ること。そぞろ歩き。散歩。」という意味です。坪内逍遙という方がいらっしゃいましたね。Wikipediaによりますと

坪内 逍遥(つぼうち しょうよう、旧字体:坪內逍遙、1859年6月22日(安政6年5月22日)- 1935年(昭和10年)2月28日)は主に明治時代に活躍した日本の小説家、評論家、翻訳家、劇作家。代表作に『小説神髄』『当世書生気質』およびシェイクスピア全集の翻訳。本名は坪内 雄蔵(つぼうち ゆうぞう)。別号に春のやおぼろ、春のや主人など。俳句も詠んだ。

逍遙散は緊張した神経や筋肉をほぐして,気ままな気分にしてくれるので逍遙という命名かという気がしましたが,症状がふらふらして一定しない状態に用いることから逍遙散というのだとある先生に教えていただきました。

◆構成生薬は
●柴胡 さいこ セリ科ミシマサイコの根
●白芍 びゃくしゃく ボタン科シャクヤクの根
●当帰 とうき セリ科トウキの根
●白朮 びゃくじゅつ キク科オケラの根茎
●茯苓 ぶくりょう サルノコシカケ科マツホドの菌核
●生姜 しょうきょう ショウガ科ショウガの根茎
●甘草 かんぞう マメ科ウラルカンゾウなどの根及びストロン
●薄荷 はっか シソ科ハッカの地上部

肝の働きをスムーズにする柴胡・白芍・ハッカ,血を補う当帰・芍薬,胃腸の働きを促進する白朮・茯苓・生姜・甘草の組み合わせです。肝の失調は胃腸(脾や胃)にも影響を及ぼしますので,逍遙散は胃腸にも配慮したバランスの良い処方です。もともと胃腸の弱い方にも安心して使えます。

画像の説明
画像の説明
写真上:ミシマサイコの花 写真下:ミシマサイコの根

『中医処方解説(神戸中医学研究会)』によりますと,
肝の機能がスムーズでない状態を肝気鬱結(かんきうっけつ)と表現しますが,これが顕著な場合には,香附子・鬱金・川楝子・青皮などを,食欲不振には陳皮・半夏・神麹などを加える。血虚が強ければ熟地黄・枸杞子・旱蓮草などを,気虚が明らかなら党参・黄耆などを配合する。便秘には白朮・茯苓を減去して枳殻・栝楼仁・大黄・麻子仁などを加える。月経不順には益母草・丹参などを,月経痛には当帰を増量し香附子・延胡索・益母草などを配合する。
とあります。

加味逍遙散(かみしょうようさん)

医療用エキス製剤では逍遙散がなく,加味逍遙散はあります。使用頻度の非常に高い処方です。
加味逍遙散逍遙散
●牡丹皮 ぼたんぴ ボタン科ボタンの根皮
●山梔子 さんしし アカネ科クチナシの果実
この二つの生薬を加えた処方です。
逍遙散を用いるべき状態に,いらいら・のぼせ・ほてり・口渇・頭痛・微熱・ねあせなどを伴う場合に用いるとされています。これらの症状は「熱」的な症状とされ,牡丹皮・山梔子は肝に由来する熱を取ることに優れています。

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