半夏生(はんげしょう)・半夏の薬用利用・半夏とヘソクリ

半夏生(はんげしょう)

 立夏、夏至などの二十四節気をさらに細分した七十二候に、半夏生という暦日があります。夏至から数えて十一日目で、今年は七月一日がその日でした。半夏生は古来、稲作の豊凶を占うなど、生活との関わりが深く、入梅、彼岸、土用などとともに雑節(ざっせつ)と呼ばれる暦の一つにも数えられています。この半夏生とは「半夏(はんげ)の生える頃」という意味で、半夏とはサトイモ科の薬草“カラスビシャク”の中国名です。日本では生薬名として半夏という名称を使います。カラスビシャクは雑草の如く畑や野原で見かける意外と身近な植物です。初夏~夏に、緑色の仏炎ほうと呼ばれる器官に包まれた花を咲かせます。その姿は、まるで蛇が頭を持ち上げているような格好です。同じサトイモ科のミズバショウや園芸植物のカラーの白い仏炎ほうはとても印象的ですが、カラスビシャクのそれは大変地味です。

半夏の薬用利用

 カラスビシャクは地下に球茎を形成します。それを掘り上げて乾燥させたものが生薬の半夏となります。そのままかじると“えぐい”と表現される強烈な味と咽にピリピリとする刺激があります。これを緩和させるには、ショウガをかじります。漢方薬で半夏を利用するときは、多くはショウガを併用します。ショウガと共に長く煎じることで、えぐみはなくなります。半夏は吐き気を止める作用があり、古来、多くの処方に利用される重要な生薬です。半夏を主薬とした処方には、以下のようなものがあります。

  • 半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう):更年期などに見られる咽喉の異物感を改善するのによく用いられます。また、過緊張や不安感、そしてそれに伴う呼吸器や食道・胃の疾患に有効です。
  • 半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう):胃のつかえた感じを改善する処方で、吐き気や軟便のある場合に用いられます。
  • 小半夏加茯苓湯(しょうはんげかぶくりょうとう):吐き気止めとして広く用いられ、妊婦のつわりや乗り物酔いなどに頻用されます。

半夏とヘソクリ

 半夏にはヘソクリという別名があります。その理由は、白くて丸く、一ヵ所くぼみのある球茎がヘソのあるクリのようだからとか、畑に生えるカラスビシャクの球茎を農家で集めて薬屋に売り、副収入としたからといった説があります。

 ちなみに“ハンゲショウ”という名前の植物があります。半夏生の頃に花を咲かせるのでこの名前がついたようですが、ハンゲショウはドクダミ科の植物で、カラスビシャクとは全くの別物です。

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