屏風(びょうぶ)で風邪・花粉症予防

 部屋の仕切りや装飾に用いられる屏風。芸術性の高い屏風絵や,祝宴で見かける金屏風なども思い浮かびますが,元来は「風を屏(ふせ)ぐ」つまり風よけの道具でした。

 近年,使用頻度が増している漢方薬の一つに「玉屏風散」があります。「ぎょくへいふうさん」あるいは「ぎょくびょうぶさん」とも読まれるのですが,前者が一般的です。「玉」の字は貴重なことを表し,とくに漢方薬の名前に付く場合は,優れた有効性の意を含んでいます。最後の「散」の字は散剤,つまり粉薬です。

 玉屏風散の効能の一つは風邪を引きやすい体質の改善です。「風邪(かぜ)」という字は元々漢方の考え方にある「風の邪気=風邪(ふうじゃ)」が由来です。風は自然現象ですが,人間が風に当たって悪寒や鼻水,頭痛,発熱などを発症したとき,その風は単なる風ではなく,人体を害する力をもった風邪(ふうじゃ)であったということになります。今で言う風邪(かぜ)のウイルスに相当すると考えられます。

 本来人体には,自身を防衛する機能が備わっています。いわゆる免疫力です。漢方では体表に衛気(えき)という気の一種が存在し,目に見えない外敵である邪気から体を守っていると考えます。ところが何らかの原因で衛気が不足すると,邪気が侵入しやすくなり,頻繁に風邪(かぜ)などの感染症を罹患しやすくなります。

 衛気が不足する原因として考えられるのは,過労,睡眠不足,飲食の不摂生,冷飲食や薄着などの身体を冷やす習慣,過剰なストレスなど様々です。根本的な原因の解決が最も重要ですが,とりあえず衛気を高める手助けになる漢方処方の一つが玉屏風散です。

 玉屏風散は三つの生薬からなります。体力や免疫力を高める黄耆(おうぎ)。胃腸を調えて強くする白朮(びゃくじゅつ)。穏やかな発汗作用を有する防風(ぼうふう)。主役は免疫力を高める黄耆です。現代の薬理研究では,玉屏風散に鼻粘膜や気管支粘膜を保護する作用が報告されており,花粉症などのアレルギー疾患の予防にも役立つと考えられています。目には見えがたい花粉も漢方的には風邪(ふうじゃ)の一つです。

 このように黄耆を含み風よけ強化が期待できる処方は他にもいくつかあり,体質による使い分けが必要です。服用の際は専門家にご相談ください。