年度初めの体調・気持ちを安定させる漢方薬

年度初めの体調

 三月から四月にかけて生活や仕事の環境が大きく変化した方、たくさんいらっしゃることでしょう。新鮮な毎日に心躍らせている方もいれば、期待と不安が入り混じった複雑な心持ちで過ごしている方もいらっしゃることと思います。春といえば穏やかなイメージもありますが、実際には「三寒四温」「春一番」などの言葉に表されるように変化の激しい季節であり,精神的にも不穏な状態にある方が意外と多い時期といえます。

 このような精神状態が限度を超えてしまうと、イライラ、不眠、倦怠感、不安感、神経性の下痢など、身体の異常となって現れてくるようになります。このような時、気持ちの問題だからと何もせずに片付けられてしまうことが多いのではないでしょうか。上手な気晴らしや新しい環境への慣れによって次第に改善して行けばいいのですが、長びく場合や、一時的な緊張で再び体調を崩してしまう方もいらっしゃいます。神経質、緊張しやすい、イライラしやすい、怖がる、驚きやすいといった状態は、性格と言ってしまえばそれまでですが、体の状態を表す大切な要素となることもあり、漢方では薬を選ぶ重要な手がかりとなります。

気持ちを安定させる漢方薬

 気持ちが高ぶってイライラしたり、動悸、血圧上昇、不眠などが生じたときには、黄連(おうれん)や山梔子(さんしし)といった薬草、また哺乳動物の化石である竜骨(りゅうこつ)や牡蛎(かき)の殻である牡蛎(ぼれい)といった動物性生薬が使用されます。

 普段から緊張しやすい、イライラしやすいといった場合には、神経や筋肉の緊張をほぐすといわれる芍薬(しゃくやく)、柴胡(さいこ)、甘草(かんぞう)などの薬草を用います。

 体力が低下している状態での不眠や動悸には、滋養作用があって気持ちを落ち着かせる働きも有するといわれる酸棗仁(さんそうにん)、竜眼肉(りゅうがんにく)、遠志(おんじ)などの薬草を用います。

 これらの生薬のうち、黄連の原植物であるオウレン類は早春の山中に可憐な花を咲かせます。薬となる根茎には強烈な苦みがあり少量で良効を発揮します。山梔子はクチナシの実です。竜骨は甲骨文字発見のきっかけになったというエピソードがあります。竜眼肉は中国では人気のドライフルーツの一つで、桂円の名でスーパーマーケットなどで売られています。

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