排尿障害の漢方薬

 排尿障害には,トイレが近くなる頻尿や,尿の出渋り,残尿感,尿漏れ,排尿時に痛む,尿に血が混ざるといったことが挙げられます。その原因には,膀胱炎や前立腺肥大などの疾患による場合もありますし,心因性や老化による泌尿器機能の低下といった場合もあります。また冷えやコーヒーの飲み過ぎなど,体質や生活上の問題によっても引き起こされます。疾患が疑われる場合には,泌尿器科を受診しましょう。

老化に伴う排尿障害

 腎臓・膀胱は排尿をつかさどる大切な器官です。このことは西洋医学でも,あるいは漢方の五臓六腑の世界でも共通です(漢方では腎臓は単に腎と呼ぶことが多い)。さらに漢方では,この腎は「精(せい)」と呼ばれる人体の生命エネルギーを蓄える部位と考えており,人間の誕生から成長,成熟,老化という過程をコントロールしていると認識しています。精はだいたい30歳代をピークに減少していきます。それに伴って体力や機能は下降をはじめます。そして精の減少が大きくなってくると,一般に老化現象と呼ばれる症状が現れるのです。耳,腰,骨,尿などは腎との関わりが深く,老化に伴って症状の現れやすいものです。尿の場合は,排尿量が増えることも,逆に減少してしまうこともあります。これらの老化に伴う諸症状を和らげるために腎を補う漢方薬を用います。そのような漢方薬は総じて補腎薬(ほじんやく)と呼ばれ,その代表に八味地黄丸(はちみじおうがん)や六味地黄丸(ろくみじおうがん)などがあります。これらは尿量が増加する場合でも,減少する場合でも用いられます。

膀胱炎に対する漢方薬

 膀胱炎では,排尿痛や残尿感,下腹部の違和感,ひどい場合には血尿などがあらわれます。このようなときには尿量を増加させて炎症を鎮める漢方薬が用いられます。代表的なものに猪苓湯(ちょれいとう)があります。また症状の具合によって様々な漢方薬が使用されます。
 膀胱炎を繰り返す方では,体力を高めたり,体の冷えを改善する漢方薬などで体質を改善することが必要です。

画像の説明

写真:沢瀉(たくしゃ)
オモダカ科サジオモダカの塊茎。サジオモダカは水辺に生育し,沢瀉は人体の水分代謝を改善する。八味地黄丸,六味地黄丸,猪苓湯などに含まれる。

 

その他

 精神的な頻尿やおねしょの問題などにも漢方薬がしばしば利用されます。排尿の状態に加え,様々な体調や精神状態を考慮して漢方薬を選択します。

※実際に漢方薬を服用する場合は,専門家とよくご相談下さい。

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