春の不眠と漢方

 「春眠暁を覚えず・・・」唐の詩人 孟浩然による漢詩,日本でもおなじみですね。一般的には「春の眠りは心地よく,朝になったのも気づかずに寝ている・・・」春の朝の心地よさを謳っていると解釈されます。そのほか春を題材にした作品には穏やかな,ほのぼのとしたものが多いようです。

ストレスも不眠の一要因

 ところで,私たちの生活を振り返りますと,春は年度が切り替わり,せわしない日々が続きます。外に出れば強風が吹いたり,寒の戻りがあったり,花粉の飛来を鼻で感じる方も・・・。つまりこういったことが精神的ストレスとなり体調を崩しやすい季節となってしまっています。

 ストレスによる体調不良の出方は様々です。消化器系,呼吸器系,循環器系・・・それから精神的なイラツキや不安感などとともに不眠となる方もおられます。

神経のバランスを整える

 精神的な問題,つまり「こころ」の問題は,漢方では神経のバランスを調節する「肝(かん)」や,思考の中枢とされる「心(しん)」のトラブルととらえ対策を立てます。

 「肝」や「心」の栄養が充実し,そこを流れる「気(き)」や「血(けつ)」がスムーズに運行すれば,「こころ」が落ち着き「春眠」を実感できるということになります。

 ここで役立つ薬草を2つご紹介しましょう。
①酸棗仁(さんそうにん):ナツメの原種といわれるサネブトナツメの種子。「心」「肝」を滋養します。代表方剤は酸棗仁湯(さんそうにんとう)など。

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②山梔子(さんしし):甘い芳香と白く美しい花で有名なクチナシの果実。「心」「肝」の興奮を抑制します。代表方剤は加味逍遥散(かみしょうようさん),竜胆瀉肝湯(りゅうたんしゃかんとう)など。画:山梔子(毛塚重行)

 ところで私は典型的な朝型人間。未明から起きだし,「春眠」を楽しむ家族を横目にワープロをたたいていたりします。でも清少納言はこういっています。「春はあけぼの・・・」ようよう白くなりゆく窓際も悪くありませんよ。

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