更年期障害の漢方薬

 人の身体的変化を段階的に見てみますと、乳幼児期・小児期・思春期・成熟期・更年期・老年期に分けられます。女性では、思春期に初潮を迎え、成熟期に妊娠・出産が可能な状態となります。中年になると次第に卵巣機能が低下し、閉経を迎えます。この閉経を挟んだ前後10年間、45~55歳くらいの間が更年期となります。そしてこの卵巣機能の低下に伴う諸症状を更年期障害と呼びます。

 更年期障害の原因は体内のホルモンバランスの大きな変化にあります。ホルモンは体内で各組織のコントロールをしていますから、そのバランスが変化すると、様々な箇所に影響が出ることになります。その影響の程度が大きくなると、症状となって現れるわけです。この症状の出方や強さは、人によって大きな違いがあります。ほとんど気にならないで済んでしまう人もいれば、症状を緩和する治療を受けずにはいられない人もいます。

 症状の出方を左右する要素として、
①ホルモンの偏重に対する適応能力の差や体力の衰えなどの身体的な要素、
②ストレスを感受しやすいとか悲観的だとかいった心理的な要素、
③家庭内の問題や近所、職場の状況など環境的な要素
などが挙げられます。

 変化したホルモンバランスに心身が慣れると、症状も次第に治まりますが、症状の苦痛な時期には、様々な療法が行われています。漢方薬を用いるのも大変有効な手段の一つです。

漢方薬による更年期障害の治療

 漢方薬は症状や体質によって使い分けます。以下に更年期障害によく用いられる処方をご紹介します。

 加味逍遙散(かみしょうようさん)
 気・血の巡りを改善することにより、胸腹部や頭部、背部の痛みや脹りを取り除いたり、ストレスによる諸症状を緩和します。さらに血分を補い、月経のリズムを整えます。また、のぼせや心煩を取り除くクチナシの実やボタンの根皮が含まれています。

 桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
 血液循環を改善し、下腹部、頭部、肩などの痛みを取り、冷えのぼせを緩和します。下腹部の腫瘍にも用いられます。血行不良に汎用されます。

 桃核承気湯(とうかくじょうきとう)
 血液循環、便通を改善し、下腹部のはりや痛み、のぼせなどを治療します。

 当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
 血液と水分の停滞を改善し、腹痛を治療します。むくみやめまい、耳鳴りなどにも応用されます。妊婦の腹痛によく用いられます。

 半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)
 のどの異物感や痰、吐き気、咳嗽、胃部膨満感などに有効です。精神刺激によるものに奏効します。

 八味地黄丸(はちみじおうがん)
 加齢による足腰の衰えや冷え、排尿困難、耳鳴り、難聴などに用います。冷えがなく目の衰えが気になる場合は杞菊地黄丸(こぎくじおうがん)が有効です。

※実際に漢方薬を使用する際は、詳しい相談の上,服用下さい。

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