桜の効用~桜皮について

新川桜並木

 桜の色や香りは多くの人に好まれます。花は桜茶,葉は桜餅に。樹皮を加工した秋田の工芸品“樺細工(かばざいく)”も有名です。

 さらに薬にもなります。薬用とされるのは樹皮の部分で“桜皮(おうひ)”と呼ばれます。江戸時代の民間療法では,しゃっくり,下痢,毒キノコ中毒,急性胃炎,一切の食中毒,熱病,おでき,痔,打撲傷,毒蛇に噛まれた時,鼠に噛まれた時,ふぐ中毒,そして二日酔いにまで応用された記録が残っています。樹皮を煎じたり,黒焼きにしたりして,内服にも外用にもしたようです。

 現在でも,桜皮を含み汎用される漢方処方に十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう)があります。十味敗毒湯を生み出したのは江戸時代後期の名医 華岡青洲です。華岡青洲は世界で初めて全身麻酔を用いた乳癌手術を成功させた外科医で,有吉佐和子さんの小説『華岡青洲の妻』で有名になりました。

桜の花

 ニキビは毛穴におけるアクネ菌による炎症で発生します。このとき,皮脂が多かったり,毛穴が詰まっていると,発症しやすくなります。皮脂の分泌を増加させる要素に,男性ホルモンや女性ホルモンのプロゲステロンがあります。ホルモンの分泌量が増える思春期や,プロゲステロンの分泌される女性の高温期にはニキビが出やすくなります。

 一方,別の女性ホルモンであるエストロゲンは皮脂の分泌を抑制し,ニキビの増加を防ぎます。十味敗毒湯に含まれる桜皮は,皮下の細胞からのエストロゲン産生を促し,ニキビに対して抑制的に働くと報告されています。

 しかしながら女性のニキビは全て十味敗毒湯で良いかというとそうはいきません。やはりそれぞれの体質等を考慮しながら選択しなくては効果は望めません。

画像の説明

戻る