梅雨時の体調不良・湿邪・水毒の除去

梅雨時の体調不良

 曇りや雨の日になると体調を崩すという方がいます。特に多いのは関節炎の悪化で、体が重くなる、胃が重くなる、めまいがする、皮膚炎が悪化するという方もいます。単にどんよりした空模様に気分も沈んでしまうなどという事では済まない問題です。漢方には、湿気が人体に悪影響を及ぼすことがあるという認識があり、そのような湿気を特に“湿邪(しつじゃ)”と呼んでいます。湿邪は、発汗作用を鈍化させ、“水毒”を増長させるといわれています。

 ところで、この水毒とは体内の水分が引きおこす好ましくない現象のことです。水毒は気・血の循環を悪くしたり、胃腸を障害し、様々な症状となって現れます。体が重い、めまいがする、乗り物に酔いやすい、お腹がタプタプする、舌の苔が厚く粘るなどの状況は水毒が疑われます。水毒の原因には、冷えや胃腸虚弱、節度のない飲食などが挙げられます。雨季や夏季にみられる不調は、もともとの水毒体質に湿邪が結びついて起こる可能性が大きいといえそうです。

湿邪・水毒の除去

 湿邪・水毒の除去には状況により様々な方法が採られます。例えば、胃腸管からの水分吸収や尿の排泄を促進させる、体内でベトベトの痰状になった水分をサラサラにする、湿度上昇により阻害される発汗をスムーズにするなどの方法で、それぞれに対応する生薬を複数組み合わせて使用します。

 水毒を除去する代表的な生薬には“茯苓(ブクリョウ)”があります。茯苓は“マツホド”というサルノコシカケ科のキノコを乾燥したものですが、マツホドはキノコといっても笠をつくりません。地下にある松の根に寄生してイモのような固まりとなるのです。採薬には“ハリ”と呼ばれる専用の道具(約1mの細い鉄棒)を用います。松林へ行き松の木の周辺で地面にハリを突き刺しながら歩き回ります。もしマツホドに当たると、生のサツマイモでも突き刺したような感触があり、ハリを引き抜くと先端に白くチョークでこすったような跡がつきますので、そこを掘り上げます。

 湿邪を除去する生薬にはシソ科の“藿香(カッコウ)”など、芳香性の高い生薬が利用されます。同じシソ科の植物である“香菜”は、中国南部や東南アジアの料理に欠かせない食材です。発汗や消化促進の作用があり、高温多湿の地域においては胃腸障害や暑気あたりの予防に役立っているのかもしれません。

 また身近な食材であるショウガも胃腸の機能を高めたり吐き気を抑えるなどの作用を有するため、水毒改善に利用される重要な薬材の一つです。

梅雨を快適に過ごす

 梅雨時の不調を予防するためには、日頃から胃腸を健康に保って水毒の発生を防ぎ、気・血の循環をよくしておくことが大切といえます。つまり冷飲食や脂っこいものなどの摂りすぎに注意し、適度な運動・睡眠・排便を心がけ、ストレスを上手に発散する。できることから始めましょう。

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