気管支喘息の漢方薬

 気管支喘息は,発作的に起こる呼吸困難とゼーゼーといった荒い息づかい,そして咳・痰を伴う病気です。アレルギー体質との関わりが深いとされ,発作を誘発する物質は室内のほこりや動物の毛,カビ,花粉,エビなど様々です。また,患者さんは感冒,体の冷え,疲労,精神的ストレスなどで発作が起こりやすくなるので,これらの注意も必要です。治療は,発作時と緩解期に分けて行う必要があります。

漢方における喘息

 「喘」という字は「あえ(ぐ)」と読みますが,息切れや呼吸困難を意味しています。約二千年前の漢方書にも登場し,この病気が古くから存在していたことがうかがえます。喘息時の呼吸困難に使用される重要生薬が麻黄(まおう)です。麻黄の主成分は明治時代に特定されエフェドリンと名付けられました。エフェドリンを元に合成された化学薬品は,現代医学でも,かぜ薬の成分や気管支拡張剤として利用されています。そのほかアンズの種子である杏仁(きょうにん)やシソの種子の紫蘇子(しそし),ホウノキの樹皮である(こうぼく)などを適宜組み合わせて使用します。中国では銀杏(ぎんなん)も同様に配合される生薬です。

 また,気管支喘息では切れにくい痰の存在が非常に厄介です。痰を切って取り除くためにサトイモ科カラスビシャクの地下茎である半夏(はんげ)やミカンの皮の陳皮(ちんぴ)などが使用されます。

 ただし発作の激しいときには命に関わる場合もあります。病院で処方されたお薬を適切に使用して下さい。無理に漢方薬に頼るのは決してお勧めできません。
シナマオウ
マオウ科シナマオウ
中国北部やモンゴルに自生する。茎を乾燥したものが生薬の麻黄となる。

体質改善の漢方薬

 五臓六腑のうち,気管支喘息に直結するのは呼吸器系の働きをつかさどる肺です。肺の力を補うような生薬には,マメ科植物由来の黄耆(おうぎ)などがあり,さらには菌類生薬の冬虫夏草(とうちゅうかそう)やオオヤモリを乾燥した蛤蚧(ごうかい)などを使用することもあります。また免疫力などに関わるとされる腎や,消化吸収をつかさどる脾(ひ)や胃といった臓腑の働きを整えることも大切です。肺だけでなく心身を総合的に考慮することが漢方の特徴です。

 西洋医学でも,喘息発作を起こしにくくするためのお薬がいろいろと開発されています。西洋医学と漢方では体質改善の考え方が異なりますので,状況によりうまく組み合わせるとより効果的と考えられます。

※実際に漢方薬を服用する場合は,専門家とよくご相談下さい。

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