皮膚や粘膜の乾燥対策

 立春を迎えて暦の上では春となっても,まだまだ寒さや空気の乾燥は気になります。カゼやインフルエンザのウイルスも,このような気候を好みますので,体を温め,十分な栄養や睡眠を心がけて,免疫力を落とさないようにしたいものです。

 乾燥による影響では,皮膚の荒れや痒みも顕著になります。加えて,唇や口内,のど,鼻などの粘膜も乾燥しがちです。最近は冬の脱水などもメディアに取り上げられるようになりました。乾燥する割に,水分の摂取が減少するためです。そのため冬でも水分の摂取を促す報道が見られますが,摂り方には注意が必要です。

 寒い場所にいますと,カゼをひいていなくても,水様の鼻水がたれてくることがあります。透明でサラサラとした鼻水や痰が多い人は,体が冷えている状態です。このようなときに水分を多く摂取すると,さらに体を冷やす恐れがあります。できるだけ体を温める生姜湯や,ほうじ茶,シナモンティーなどを少量ずつ摂るのがおすすめです。冷たい飲料や砂糖の多い物は控えめにしましょう。

 また,アルコールやカフェインは利用作用があるため,これらを含む飲料ではせっかく補給した水分が無駄にる恐れがあります。そのためやはり摂りすぎには注意が必要です。

 飲み物だけでなく,食べ物にも役立つものがあります。薬膳の世界では体に潤いを与える食べ物として,緑黄色野菜や蓮根,大根,白キクラゲ,ハチミツ,リンゴ,イチジク,バナナなどが挙げられています。皮膚や粘膜に潤いを与えるとのことです。さらに青魚や玉ねぎ,らっきょうなどは血液をサラサラにすることが知られていますが,血流がスムーズであることも,体の隅々まで水分を送り届ける上で重要です。

 乾燥する季節に多いご相談の1つに皮膚の痒みがあります。特に足のスネの部分,乾燥が痒みを誘発し,掻くと皮が細かくむけて,白く粉を吹いたようになります。さらに掻き続けると,赤くなったり,傷ができて出血したりと,やっかいです。保湿クリームや入浴剤が有効な場合もありますが,漢方薬では当帰飲子(とうきいんし)が多用されます。当帰飲子は血液の栄養や流れを改善し,皮膚や粘膜を潤します。また痒みに有効とされる蒺梨子(しつりし)を含んでいることも特徴です。

画像の説明
写真:蒺梨子(しつりし)
とげのような突起が多数あるので刺蒺藜(ししつり)とも呼ばれる。海浜植物のハマビシの乾燥果実。