目に効く木・ベルベリンを含む薬草

目に効く木

 四月~五月ごろ、関東以西の山中で黄色い可憐な花をつけた“メギ”という落葉低木に出会うことがあります。枝には鋭いトゲがあるため、“コトリトマラズ(小鳥 止まらず)”“ヨロイドオシ(鎧通し)”などのユニークな別名があります。また、よく似た同属植物には“ヘビノボラズ(蛇 登らず)”というのもあります。

 さて、標準的な呼び名である“メギ”の由来は、この木が古来、民間的に目の炎症に対して用いられてきたことにあります。つまり“目木”というわけです。学名は“Berberis thunbergii”で、そのためメギの樹皮に含まれる有効成分には“ベルベリン”という名前が付けられました。

 メギの利用方法として、幹や根を煎じて、目を洗浄したり、内服して健胃薬・整腸薬とする方法が伝えられています。しかし現在ではあまり利用されていません。

 メギはメギ科メギ属に分類される植物、つまり科や属を代表する種類ということですが、一般的にはあまり知られていないようです。しかし、メギ科には、庭木として有名な“ナンテン”や“ヒイラギナンテン”、山野草で滋養強壮の薬草とされる“イカリソウ”なども含まれます。

 ちなみによく似た名前・薬効・味を持つ“メグスリノキ”はカエデ科の植物で、有効成分も異なります。

ベルベリンを含む薬草

 メギの一成分であるベルベリンは、実は他の植物にも含有されます。有名なものにオウレンやキハダがあります。植物の分類上は、メギはメギ科、オウレンはキンポウゲ科、キハダはミカン科とそれぞれ異なります。みな民間薬として用いられてきましたが、漢方薬としてはもっぱらオウレンやキハダが利用されます。オウレンはひげ根を焼き落とした地下茎が用いられ、生薬名は“黄連(おうれん)”です。また、キハダは樹皮が薬用となり、生薬名は“黄柏(おうばく)”です。

 黄連も黄柏も、下痢や出血性・炎症性の疾患に用いられますが、黄連は胃炎や目の充血など、上半身に使用されることが比較的多く、黄柏は膀胱炎や腸炎など、下半身に多用されます。さらに併用されることも少なくありません。

 また、日本の代表的な伝統薬の陀羅尼助(だらにすけ)・百草(ひゃくそう)は、黄柏を主体とした胃腸薬です。これから湿度・気温が高まると、食中毒や急性の胃腸炎が発生しやすくなります。そんな時、このような胃腸薬はよく効きます。

 最近ではベルベリンを含有する目薬も発売されていますが、こちらの成分もメギではなく、黄連や黄柏を由来としています。

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