秋の過ごし方

 朝晩めっきりと肌寒くなり,数ヶ月前までの猛暑が大分以前のことのように感じられます。しかし猛暑の爪痕は此処其処に残され,例えば野菜や稲の不作が伝えられています。山ではドングリ類の実りが悪く,冬眠に備えるクマの行動範囲が広がっているとか。

 一方,キノコの方は豊作のようで,キノコ狩りの好きな方には嬉しい秋となったのではないでしょうか。反面,毒キノコによる中毒事件が増加したことは教訓とすべきでしょう。また来春のスギやヒノキの花粉の飛散量が今年と比較して数倍になると予想されています。体調を整えて秋・冬を過ごして気持ちよく春を迎えたいものです。

 二千年前に書かれた医学書『黄帝内経(こうていだいけい)』には,「鶏のごとく早寝早起きをする」「心安らかに過ごす」ことが秋の養生法として紹介されています。秋の夜長は楽しまずに,その分早起きをしたほうが良さそうです。秋は暑い夏から寒い冬へ向かう季節であり,気温や気圧の変化が激しく,心も体も調子を崩しやすい季節といえます。とくに自律神経にとって大きな負担になると考えられます。

 自律神経とは,活動時に活発になる交感神経と,安静時に活発になる副交感神経の総称です。私たちの体内で呼吸や拍動,消化などの機能が無意識のうちになされているのは,この自律神経のおかげです。例えば運動時や緊張時には交感神経が活発になり,血圧を上昇させ,呼吸や拍動が盛んになります。このように自律神経は周りの状況を敏感に感じ取って,その状況にあわせて体の状態を変化させるのです。

 ところがその機能が失調すると,急に呼吸が激しくなったり,熱くなって汗をかいたり,手足が冷えたり,動悸がしたり・・・・。いわゆる自律神経失調症と呼ばれる病症です。自律神経はあらゆる体内の作用に関わっていますから,様々な症状が出る可能性があるのです。

 自律神経に影響する環境には気温や気圧,昼夜といった自然環境の他に,仕事や趣味,観劇といった心理変化をもたらす環境などもあります。もしも寒暖の差が激しい職場や,ストレスの大きい環境,昼夜逆転の生活などが常態化しますと,自律神経への負担が大きくなり,心身の失調を引き起こしやすくなります。

 とくに今年の夏は異常な猛暑でしたから,心身の疲労も例年よりたまっているかもしれません。できるだけ規則正しい生活を送ることが,この季節を乗り切る上で大切なようです。

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