美しい冬の星空

 圧倒的存在感のオリオン座,有名なシリウス率いるおおいぬ座,スバル擁するおうし座,流星群が話題のふたご座など,冬の星座は見応えがあります。暗く冷たい空気の中できらめく星々を眺めていると,凛とした雰囲気に包まれます。

 小学校5年生の時,理科の授業で星の運行を学習しました。教科書には参考として星の写真の撮り方が紹介されていました。カメラはしっかりと固定し,ピントを無限大,絞りを開放,そしてシャッターボタンを押している間中露光できるように設定します。例えば10分間シャッターを押し続けて撮影すると10分間の星の軌跡が光の線となって写るのです。

 毛塚少年は父親の一眼レフカメラを借りて星の撮影に挑戦しました。三脚がなく,木材を切り貼りしてカメラを固定する台を自作しました。シャッターを長押しするためにボタンに接続するレリーズは小遣いで調達しました。最大の敵は星以外の光でした。実家は国道沿いであったため,商店や車のライトが入り込みやすかったのです。長時間の露光の間にそれらの光が入ると,画像全体が明るくなり,まるで昼間の青空に星が出ているようになってしまったり,完全に真白になってしまったりするのです。フイルムしかない時代ですから,撮影後の数日間はドキドキしながら現像ができあがってくるのを待ちました。たとえ青空に上るオリオン座となってしまっても,少年は宇宙を切り取った嬉しさにひたったものでした。
画像の説明
写真:東の空に上るオリオン座の軌跡。約30年前に撮影。車のライトで全体が明るくなっている。

 星の運行が本来地球の自転と公転によるということが常識となる以前,様々な神話や摂理が生まれます。地球の運動は星の見え方だけでなく,四季の変化の原因でもあり,考え出される摂理は古の科学でした。作られた暦は人々の生活を左右する大切なものでした。漢方も含め伝統文化にはその影響が色濃く残されています。

 昨年,江戸時代に日本の暦を作った渋川春海(安井算哲)の物語『天地明察』が映画化されました。暦づくりに立ちはだかる困難を乗り越える感動に加え,江戸時代の数学・天文学が想像以上に進んでいたことを知らされました。

 最後に漢方的なお話を一つ。冬の夜の過ごし方です。約二千年前に書かれた『黄帝内経』によると日の入り・日の出に従って早く寝て,ゆっくりと起床し,体の陽気が外に出ないように守ることが肝要とのこと。あまり星を見ている余裕はないようです。