耳をサポートする漢方

 3月3日といえば「ひな祭り」ですが、「耳の日」でもあることをご存じでしょうか?日本耳鼻咽喉科学会が昭和31年に制定したもので、毎年都道府県ごとに、難聴で悩んでいる方々のご相談を受けたり、耳の病気や健康な耳の大切さを啓蒙する活動を行っているそうです。

 漢方では、耳は五臓六腑の「腎(じん)」に帰属すると考えられており、耳の衰えは腎の衰えと結びつけられます。ただしこれは西洋医学でいう腎臓病とは異なります。腎は精(せい=生命の源)を蓄える場所で、精は加齢により減少していきます。それによって泌尿器・腰・骨・脳・耳などが衰え、皮膚にはシワができ、動作は緩慢になります。

 耳との関連では、確かに高齢者ほど難聴や耳鳴りを抱えた方が多くなります。シワを消したり、動作を俊敏にすることには限界があるように、加齢に伴う難聴を回復させることは容易ではありません。しかし様々なアンチエイジングが叫ばれているように、出来るだけ体の各機能を保つことを心がけることで、耳の症状も進行を遅らせることは可能であると考えられます。

 老化は細胞の酸化・糖化が要因として大きいと言われます。それを防ぐにはバランスのいい食事や適度な運動・睡眠が不可欠です。

 漢方薬を使うとすれば、腎を補う「補腎薬(ほじんやく)」と呼ばれる処方群が選択されます。その処方群の多くには、滋養作用に優れる地黄(じおう)やヤマイモを乾燥した山薬(さんやく)などが含まれます。

 また耳鳴りがストレスや不眠などによって悪化する場合や、そもそも原因が加齢ではなく炎症等によるときには、状況に合わせ、気持ちを落ち着かせたり、炎症を鎮める漢方薬を用いて改善が見られることもあります。

 子供の耳トラブルでご相談が多いものに滲出性中耳炎(しんしゅつせいちゅうじえん)があります。通常の中耳炎のような痛みや発熱はなく、耳のつまり感や難聴を発症することが特徴です。鼻やのどの弱い子が罹患しやすく、治療には時間がかかります。薬剤の服用による治療のほか、鼻と耳の間の管に空気を通したり、鼓膜の切開するなどの外科的な処置が必要になることもあります。漢方では子供の成長を助けて免疫力を向上させる処方や、消炎の処方を用いて治療をサポートします。

 いずれの場合も耳だけに注目するのではなく、体全体の状態を考慮することが重要です。