血流の大切さ

 漢方では血流の滞りを瘀血(おけつ)と呼んでいます。先月の本項(気になる血の滞りをチェックしてみよう!)では瘀血の度合いをチェックする表や瘀血にもいろいろなタイプがあることをご紹介しました。

 血液の流れ具合は血液の質や血管の状態が関係します。血管には動脈、静脈、毛細血管があり、これらをつなぎ合わせた長さは、10万キロメートルにも及びます。これは地球を2周半する距離に相当します。

 血液は各所に栄養や酸素、ホルモンなどを送り届け、そして老廃物を回収する役割を担っています。その物々交換の場として、毛細血管が大変重要です。毛細血管は直径わずか千分の8ミリメートルという細さですが、網の目状に張り巡らされており、表面積を合わせると6000平方メートルにも達するとされています。坪数で言うと1800坪を超えます。信じがたいですが、体内にこれほど大きなスケールのものが含まれているのですね。体内に存在するミクロな細胞たちの巧妙な連携を表現して「人体は小宇宙」という言葉がしばしば使われますが、スケールの面から考えても納得できる言葉です。

 血流が悪くなりますと、酸素や栄養が各所で不足となり、内臓や脳の働きが悪くなったり、皮膚のつやがなくなる、シミやアザができる、肩こりや筋肉痛を引き起こすといったことが生じます。さらに悪化しますと、狭心症や脳梗塞をもたらすことになります。

 糖尿病も血流と関わりの深い疾患で、悪化とともに発生する合併症が非常に恐れられています。糖尿病性神経障害・網膜症・腎症は、高血糖によって血管内皮が変性し、細い血管が破壊されてしまうことが原因となります。ですから糖尿病を罹患した場合、血流の改善に努めることが大切です。

 漢方では瘀血の三大症状として、しこる(できもの、こりなど)、黒ずむ(シミ、アザなど)、痛むが挙げられます。これらのシグナルがあれば血行改善の治療を検討することになりますが、先月ご紹介したとおり、タイプ(症状や体質)によって対応は異なります。ただ、いずれのタイプであっても食事や運動、睡眠、ストレス発散などが重要であることは変わりません。

 とくにこれからの寒い季節、体を温める上でも、運動や食事に気を配りましょう。