頭痛の漢方薬

 頭痛の経験がない方は,ほとんどいらっしゃらないでしょう。多くの場合は,カゼや二日酔い,睡眠不足,イヤな会議などで生じるもので,大きな心配は不要です。ところが“頭痛持ち”という言葉があるように,慢性の頭痛でお悩みの方も意外と少なくありません。また,激しい頭痛で,吐き気や高熱を伴う場合は,命に関わることもあり,緊急に病院へ行く必要があります。

頭痛の漢方治療

 漢方薬が奏効する頭痛は,カゼや二日酔い,ストレスなどによる一時的な場合や,習慣的になっている慢性の頭痛です。大切なことは,状況に即した漢方薬を選択するということです。選択を誤ると,かえって悪化する恐れもあります。

 頭痛のタイプを大きく分けますと,カゼのように原因が外部から来る頭痛を外感頭痛(がいかんずつう)とし,一方血行不良や冷え性などの体質が大きく関わる頭痛を内傷頭痛(ないしょうずつう)と呼びます。慢性の頭痛はたいていの場合内傷頭痛になります。

外感頭痛

 外感頭痛では,寒けや鼻・のどの具合など,他の症状からさらに詳しく状況を確認します。
 ゾクゾクと寒けがして首筋がこわばる様な場合は,有名な葛根湯(かっこんとう)や,茶葉を含有する川芎茶調散(せんきゅうちゃちょうさん)が多用されます。熱感が強く,咽が痛み,口の渇きなどを伴う時は天津感冒片(てんしんかんぼうへん)が有効です。頭重感があり,体も重だるく,胃腸の調子が悪い場合に藿香正気散(かっこうしょうきさん)などが候補に挙げられます。

内傷頭痛

 内傷頭痛では,痛む場所や程度,条件などを考慮し,さらに体質について詳しくうかがい,“五臓六腑”や体を構成する“気・血・水”のバランスを検討し,漢方薬を選択します。

川芎(せんきゅう)について

 外感頭痛にも内傷頭痛にもしばしば利用される川芎は,血の流れや気の流れを改善して頭痛を緩和させる働きがあります。
 川芎はもともと芎窮(きゅうきゅう)という名の薬草でしたが,名産地である四川の名前の一部を冠した呼び方が一般的になっています。独特の芳香があり,約千年前に書かれた『益都方物略記』には「成都(四川の省都)の生薬市場では9月9日,芎窮と大黄が積まれ,その香りは千里に広がる」と記されています。

画像の説明

 
川芎(セリ科センキュウの根茎)
『益都方物略記』の一文に接した筆者が2001年9月9日,留学中の南京から成都を訪れ購入したもの。
成都の生薬市場は中国最大規模。

※実際に漢方薬を服用する場合は,専門家とよくご相談下さい。

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