顔や舌による症状分析

便秘の3症例

 便秘薬を求めていらしたAさん50代男性。便は毎日出るものの,固くて出しにくいとのこと。仕事のストレスが多く,赤ら顔で血圧が高め。舌はやや赤黒い感じで,舌の上には黄色を帯びた苔がみられました。Aさんには心身の高ぶりを落ち着かせて便通をつける柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)を服用していただきました。

 Bさんは30代の女性。高校生のころから便秘がちで,ひどいときには1週間も出ないとのこと。食が細く,冷え性を自覚されています。顔色は白く,舌の赤みも一般的なものより白色を帯びます。Bさんには胃腸の機能を高める六君子湯(りっくんしとう)を服用していただきました。

 Cさん80歳男性。ここ10年便秘に悩まされています。便は細くて固く,なかなか出きらないとのこと。顔色は普通ですが,舌の赤みは強くて真っ赤です。舌の状態が薄っぺらい感じで,表面に切れ込みの様なすじがたくさんみられます。口が渇きやすく,手足にはほてりがあります。Cさんには体を潤し,便を軟らかくする潤腸湯(じゅんちょうとう)を飲んでいただきました。

顔や舌の色艶について

 お三方には便秘という共通の悩みがありましたが,年齢も体質も各様で,用いた処方は全く内容の異なるものです。その選択には顔や舌の色艶が大変参考になりました。

 一般的に赤みが強い場合,体には熱がこもっている可能性があります。逆に白っぽい状態は冷えの要素が考えられます。熱があれば冷やし,冷えていれば温める。その効果の判断は症状の改善だけでなく,色の変化によっても見ることができます。

 顔色を見て「今日は血色が悪いな」とか「つやがないな」と体調を案じることがあると思います。また胃腸が悪いと舌が荒れると自覚されている方もおられます。このように顔や舌の様子は日々の体調のバロメーターになります。

 鏡さえあれば自分でも簡単に観察できますが,どう見たらいいのか,結構難しいものです。一般の方向けにも解説書が出されています。『顔をみて病気をチェックする本(著:猪越恭也.PHP研究所.\1300+税)』。ご参考まで。